パップンピットの種(3)座敷わらし/文:仁科幸子

子どもの頃、雪国に住んでいた私は、冬になると「雪女」「鶴のおんがえし」とか、
雪に関わる昔話を思い出す。

いずれも、人間の姿を借りた精霊が登場するが、
昨年10月に起きた「緑風荘」という宿が全焼したニュースには、正直ドキリとした。

この宿は、「座敷わらし」が出るというので、とても有名な宿だったからだ。
夜にボイラーから出荷し、二階建ての宿が全焼した。
この宿の座敷わらしは、物の怪というよりも、亀磨というご先祖が、
守り神になっているといわれ、中庭のこの「座敷わらし」を奉った祠だけが、火事を免れて残った。

このニュースを知った時に、今の地球の状態を良く表しているなと思った。
「座敷わらし」は、日本人の血に流れる、山川草木に畏敬の念を抱き、
すべてのものに魂が宿ると考えてきた、日本人の文化の中で生きてきた
目に見えないものたちで、いかにも日本の匂いがする。

以前、ご一緒に仕事をした童話作家の先生も、この宿に取材に行き、
物語のヒントにしたという話をお聞きしたことがある。

ここの座敷わらしに出会うと、男は出世、女は玉の輿と言われ、
多くの芸能人も訪れていた。柳田国男、金田一京助、水木しげる、松下幸之助など、
そうそうたる方々が宿泊し、その後に成功を手に入れたというエピソードもある。

「座敷わらし」の祠だけが燃えなかったことに、まだ自然から人間への
希望のようなものが託されている気はする。
早く目覚めて!と、叫び声をあげられている気がする。

たぶん本当は、引っ越して行きたかったのかもしれない。

人間が、目に見えないものたちを見ようと感じようと、しなくなった時、
精霊たちも居場所を失い、人の心も人でなくなるのかもしれない。

今夜は、「座敷わらし」のことを考えよう・・・
日本から「座敷わらし」がいなくなってしまうのは、本当に悲しい、
それこそモッタイナイ!

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   by mottainai-lab | 2010-01-25 18:00 | 仁科幸子 | Comments(10)
Commented at 2010-01-26 15:51 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by かむさ at 2010-01-27 18:01 x
私は霊感とか全くないのだが、我が家の子ども達は時々有らぬものが見えるらしい。以前に住んでいたアパートでは、結構具体的な説明をしてくれたりして、ちょっと怖かった。今は2人とも小学生になったので、幼児の頃ほど目撃することはなくなったようだ。
昔、「二十歳までに幽霊を見ないと、一生見ない。」なんて聞きかじり、早く過ぎないかなーなんて思ったことを思い出した。
「座敷わらし」が子どもの姿であるのも、子どもたちがよく見えるのも、やっぱりピュアな心の感性からくるのかもしれないと思うと、その心を何処かに置いてきてしまい、見えるものを見ようとしない大人になってしまったのが、今更ながらモッタイナイと思う。
Commented by koko at 2010-01-29 21:50 x
見ようとしないと見えないもの、感じようとしないと感じないこと、本当にたくさんあると思います。座敷わらしに会えたら成功できるなんて、夢のあるお話ですね。想像力が現実を創り上げていると聞いたことがあるので、人々がたくさんの夢や希望に満ちていたら世界は、もっと平和になりますね。
 人々に成功をもたらす座敷わらしが、いっぱい増えてくれたらいいな~。 座敷わらしがいなくなるのは、本当にモッタイナイです!                     
Commented by ビッグ・ムーン at 2010-02-01 11:30 x
昔の日本人は、日々の生活の中に神々の存在を身近に感じ、畏れ、敬ってきた。暮れには年神様を迎える準備をし、お供えをする。豊作を願って祭ったり、踊ったりする。八百万の神と言うくらい自然界に様々な神の存在を感じることのできた昔の人たちはすごいと思う。緑風荘の火事は私もとっても残念に思った。
座敷わらじだけでなく他にも、「この現代は住みにくい」と感じ、どこかへ行ってしまったり力が弱ってきている精霊がいるとしたら、何とかしないと、と思ってしまう。
Commented by 菜の花 at 2010-02-05 03:19 x
ちょうど子どもと鶴の恩返しを読んでいたところ。夜、外には雪が降り、まさに見えないものたちを身近に感じられる世界。子どもは暗くなると一メートル先にある家の中のトイレにもひとりでは行けない・・・子ども達には見えないものを感じる心が自然と備わっているんだ。 そんな感性を大切に守ってあげたいなと感じた。
Commented by megu at 2010-02-07 15:26 x
わたしも含めて世界中の人が、『すべてのものに魂が宿る』と考え、自然からの声を聞き取れたならば、もっと自然が大切にされ、環境破壊や地球温暖化の危惧はなくなるかもしれない。
日本古来の考え方は、人間が自然と調和するための尊い考え方だと感服しました。
今までわたしは、目に見えないものを感じようとしなかったのですが、仁科さんのブログを読み始めてから自分の存在が自然に生かされている事に日々感謝するようになりました。
素敵な『気付き』をいつもありがとうございます!
Commented by mom.A at 2010-02-09 15:48 x
見えない世界からのメッセージは、いろいろな形で私達に何かを伝えようとしてくれている。それは夢を通してであったり、ひらめきのように何処からか心に届く声であったり・・・。落ち込んで下を向いて歩いていても、そこに何気なく咲く野花を見つけたら「あれ・・・」と目を向けただけで心が少し軽くなった気がしたり、「きれいだなぁ」と感じたら少し心が和み、「こんなところでも咲いててすごいネ」って感心したら「よし、私ももう少しがんばろう」ってそこから上を向いて一歩踏み出す事が出来る。野に咲く花であっても、その存在に私達が目を向けさえすれば、きっと目に見えない妖精達が支えてくれているような気がします。実際私も不思議体験経験者です。守り成長させていただいている事に気づき感謝する事を大切にしていきたいと思っています。
Commented by 三日月 at 2010-02-10 10:55 x
最近、命についてちょっと考えることがありました。
自分だけのものではない、周りのあらゆるものにつながっていて、そのあらゆるものによって自分は生かされている、と感じました。
ちっぽけな自分は周りのすべてに感謝しなければ…
見えないものを見ようとすること、感じようとすること、大切にしたいです。
Commented by haraママ at 2010-02-10 19:02 x
見えない力が作用する。。。これまでの人生の中でも、何度となく何かの力に引き寄せられた事があるような気がする。見えない力を疑うことなく進んで今日の自分がいる。すてきなみんなとめぐり会い、幸せな毎日が過ごせている。なんて嬉しいことだろう!
見えない力に感謝感謝。言葉じゃなくて伝えてくれるもの、偉大な自然に心からThank You!
Commented by ミッチー at 2010-02-28 12:19 x
HPで緑風荘のいわれや写真を見ました。
このような場所があるのですね。
火事になり残念です。
(関係ないかもしれませんが、今日、家が火事になる夢を見ました。消火できましたが(^^;))
0から再出発ということでしょうか。
夢を見た後、浄化された気持ちにもなりました。
リセットして、座敷わらしがのびのびと過ごせるような素晴らしい建物が再建されるといいですね。
  
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