整理が苦手な人たちにとっては、捨てられないものでいっぱいになった冷蔵庫は、
もう手に負えない重荷と感じてしまうものらしい。
「どうしたらいいでしょう」と頼まれて、時々手伝うことがあるんじゃ。
入れるところがないからと、もっと大きな冷蔵庫に買い換える人もいるが、
それでは入れっぱなしで無駄になるものが増えるだけ。
なにも解決しない。もったいない。
明かりが見えないくらい、ものがつまった冷蔵庫の奥からは、
まっ黒になったみかんや、がちがちに固まった魚のミイラを見つけることがある。
中には、一度も開封されずに腐ってしまったものもあるよ。
もしかしたら、そこに入っていることさえ、忘れられてしまったのじゃろうか……。
冷蔵庫がなかったころには、生ものが傷みにくいように、酢でしめたり、
塩やみそに漬けたり、魚は内臓を出しておくなどの知恵と工夫があった。
便利な生活になるほどに、知恵が失われてしまうのだとしたら、
冷蔵庫に頼りすぎて、ものを大切にする気持ちまで忘れてしまうのだとしたら、
残念なことじゃ。もったいない。
食料品を買う時には、使い切れるようによく考えて買いたいね。
それでも余ってしまうなら、保存できるように工夫をすればいい。
たとえば、野菜を干したりして。
干した野菜からはいいダシが出て、煮物や汁ものにも使えるんじゃよ。
冷蔵庫は、ものが腐らない魔法の箱ではないからね。