「今年のお正月に主人が、『いつもありがとう』って言ってくれたんです」と涙ながらに話してくれた人がいた。そのご主人は亭主関白でえらそうにしている人だったが、病気をして命を失うかもしれないことになって初めて、自分を支えてくれる人たちへの感謝のきもちでいっぱいになったらしい。よく聞く話じゃが、そんなあたりまえのことを死ぬかもしれないとなるまで、なぜわからない人が多いんじゃろう。もったいないねえ。
感謝の気持ちは、言って言い過ぎることはない。「今日のごはんおいしかったよ、ありがとう」って言ってもらえたら誰だってうれしいじゃろ。またおいしいものありがとうって言ってほしくてがんばるから、ずっとおいしいものが食べられることにもなる。
「今更ありがとうなんて…」とか、「言わなくてもわかっているはず」なんて思っていることがあれば、ちゃんと言うべし。
感謝の気持ちは伝えたほうも幸せ、伝えられたほうも幸せ。伝えないのはもったいない。
誰もひとりでは生きていけないからね。みんな助けたり助けられたり、支えあって暮らしているから、感謝するのはあたりまえのことじゃよ。
「もったいない」という言葉には、ものを大切に思う心、自然の恵みや作ってくれた人への感謝の気持ちがこめられている。今年はますます忘れないようにね。