富士山は清掃したぶんだけ確実にきれいになる。手の付けようがないほど汚れていた富士山も、さまざまな人がコツコツと清掃活動をした結果、五合目から上はゴミがほとんどなくなり、元の状態に戻ってきました。さらに、登山者の意識が大きく改善され、それが地方にも少しずつ広がりを見せているのは歓迎したいことです。
山での清掃活動はある程度ターゲットをしぼって活動すれば、確実に効果が出る。現在は富士山の裾野のエリアを中心に清掃活動をしている。
ところが、拾っても拾ってもキリがないのが、海岸に打ち寄せる漂着ゴミだ。
海岸清掃活動も各地でやってきたが、西表島の漂着ゴミはすごい。海流の影響で大陸側から大量に流れ着くのだ。その大半は中国や韓国のものである。
特に台風のあととなると手の付けようがないほどだ。そういえば、今年の秋は日本に台風らしい台風がきていないが、これも異常気象の影響なのだろうか?
漂着ゴミの問題点はゴミがどこの国のものかわかっても、どこからどういう経路で流れてきたのかが特定できないことだ。どこで出されたゴミなのか、どこの川から海に流れ出してきたのか、つまり誰に訴えかければゴミを減らすことができるのかが見えにくい。
また、ゴミの回収で常に問題になるのが、回収後のゴミの処理費用だ。特に地方自治体はどこも財政難で、大量のゴミを焼却できる施設の建設や人的コストなど、ばかにならない。
西表島はゴミの処分場に限りがあり、石垣島まで船で運搬しなければならなかった。漂着ゴミに関しては、人口2000人の西表島は高齢化が進んでおり、現地の住民だけでとても解決できる問題ではない。そのコストの捻出だけでも大変だ。企業がスポンサーにでも付いてくれない限り、とてもできないことだ。
今年の5月、西表島の清掃活動をする際に、この漂着ゴミは日本だけではどうしようもない。海にゴミを流す相手にこの現状を知ってもらいたい。中国や韓国に呼びかけようと思った。ということで、韓国や中国人留学生の参加者をつのり、協力が得られた。しかし、せっかくきれいにしても、海流に乗って今日も大量のゴミが漂着してくる……。
聞いた話によれば、経済の成長が著しい中国では「環境問題への取り組みは企業の敵だ」と言われているらしい。環境問題をすぐに理解してもらうのもなかなか困難だ。今後は地道な清掃活動を通して交流を深め、活動の輪を日本から世界に、特にアジア諸国に広げていきたいと思う。
環境問題に国境はないのだ。