季節に応じてファッションも変えていくわけだけど、そこで「どうせだったら四季それぞれにおしゃれして楽しもう」って考えるのは、人間の知恵だと思うんだな。
だからおしゃれの本質みたいな部分はやっぱり気候や用途に合わせた機能性だろうし、逆に機能を追求していくと自然とおしゃれになる。
ファッションに限らずデザインっていうのはそういうものだと思うよ。
過去を振り返れば機能性を無視したデザインが濫造された時代や、デザインよりもブランドネームが価値を持った時代もあったけど、現代はモッタイナイやエコロジーへの関心が高いから、見た目だけじゃなくてどれだけ無駄が少ないか、自然や環境に優しいか、ということがデザインの大きな目標になっているよね。
何年か前に、うちの奥さんに教えてもらったイタリアのブランドなんだけど、そこは一度作った生地や素材を、その服の流行が終わっても捨てずに取っておくんだな。
そして何年後かに、その生地を使って今度はバッグや靴なんかの小物を作るんだ。
そうすると、例えば3年前に買った服も最近は飽きちゃって着てないな、という人がそれを見つけて、この小物に合わせてまたあの服を着てみようかな、という気になる。
毎年々、一回売り出して終わりだと、作りすぎたものや売れ残ったものが無駄になっていくだけだけど、こうやって前とは違う形でリバイバルさせていくと、使う側の我々も手に入れたものは長く使おうという風に思うようになるよね。
さすがイタリア人。うまいこと考えるなあって思った。
それはきっと長い歴史をひとつのブランドとしてつないでいる強さだよね。
ただ、どの素材でももリバイバルやリサイクルに向いているわけではないと思うんだ。この生地でバッグは作れないとか、今の流行にこのデザインはあわないとかね。
でも、そういう条件とか制約がある中でいろいろ知恵を絞っていくと、思わぬ工夫や斬新なデザインが思いついたりするんだよ。
そうして新しいものが生み出されていく。
モッタイナイっていうと倹約、節約っていうイメージばかりだけど、いかにしてモノを無駄なくうまく使っていくかっていう、実はものすごくクリエイティブな発想や活動なんだと思う。
それが基本だし、それ以外の何物でもないと思うよ。