写真の和菓紙団扇(うちわ)の鯛の木型は、ある職人さんが晩年に彫ったものです。仕事がなくしょんぼりしているご主人のために、奥様がほかの人に依頼されたと偽って注文したとのこと。
久しぶりの大きな鯛の仕事。木型を見るといまにも飛び跳ねていってしまいそうな力強さと躍動感があります。しかも緻密で繊細な仕上がりも見逃せません。これは、木型職人の家系に生まれた渡邉俊夫さんの仕事です。
代々、虎屋をはじめ老舗の和菓子屋の木型を彫ってきた渡邊家の仕事は、江戸時代から続き日本全土に広がった和菓子木型の歴史そのものではないかと思います。常に王道(中心)を進みオリジナリティーを追求してきた渡邉家。その姿勢はいつの時代も人々の心に影響を与え続けています。
ちなみに、いまも渡邉さんの木型で打ったお菓子が赤坂の虎屋さんの店頭を飾っているのです。この跳ね鯛の木型も虎屋さんに保存されています。私はもったいない一心から展覧会のための型としてお借りしました。そして、この夏数本の団扇に仕上げたのです。
今回、MOTTAINAI Shopのご協力もいただき皆様に紹介します。よろしかったらぜひ皆様のこれからの生活にお役立てください。
MOTTAINAI Shop 永田哲也作品