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あけましておめでとうございます。

文/野口 健

新年明けましておめでとうございます。
昨年はマナスル・富士山同時清掃登山から始まり、
障害者とのヨーロッパ登山、環境学校、
そして昨年末に設立したマナスル基金など
慌しくまた充実した一年でもありました。
しかし残念な事に父とも慕っていた橋本龍太郎氏、
そして母、野口容子が一足先にこの世を去ってしまった。
残された者として亡くなった方々の遺志を継いで精一杯生きたい。

成果としては特に富士山での清掃活動。
NPO法人富士山クラブと連携して8年目になるが、
最初の年は100人ほどの参加者が昨年には4800人。
そして回収されたゴミは約80トン。
五合目から上部のゴミ回収は終了し3年前から
舞台を樹海等の富士山麓に移し、不法投棄撲滅作戦を繰り返していた。
「青木ヶ原樹海ゴミゼロ作戦対策本部」を現地に設置したのも
計画的に県警や地元市町村と連携し官と民との共同作業で
不法投棄といった犯罪集団に立ち向かっていこうと決意したからだ。
そして8月下旬に念願であった小池環境大臣(当時)と一緒に
樹海で清掃活動を行った。
環境行政のトップが現場でゴミと格闘することのインパクトは
予想以上に大きかった。
環境大臣参加とあって地元市町村のトップも集まり
大規模な清掃活動となった。
富士山を管轄している環境省レンジャーも参加し「こんなに汚いとは・・・」と
現場を守る責任者にその被害の深刻さが伝わったことも意味があった。
そして昨年の秋には静岡・山梨両県県警が合同で不法投業者に対する
摘発を目的としたパトロールを開始。
その様子はテレビでも大々的に報じられた。
着々と社会全体で自然環境を守っていく土台が築きつつある。

始めてエベレストに挑戦したのが97年。
97年、98年と立て続けにエベレスト登頂に失敗し、
99年に3度目の正直で登頂した。
そして2000年から清掃活動を開始。
エベレストに訪れてから今年でちょうど10年目。
昨年のマナスル清掃活動で最初は何しに来たんだと
疑いの眼で我々を見ていたマナスル麓のサマ村の人々が
上部で清掃活動を続ける清掃隊の活動を知るにつれ
徐々にその活動を評価し、
約2ヶ月間の清掃活動を終えサマ村に下りたら
村中の家々に手書きの日の丸が掲げられていた。
なんだろうと思いきや村のお坊さんが村人を集め
「日本人が私達の神様を綺麗にしてくれた。次は私達の番だ」と
ゴミだらけの村を綺麗にしようと呼びかけた。
環境といった概念がまだまだないサマ村の人たちによる
始めての清掃活動。
村唯一の小学校も休校となり全校生徒で清掃活動に参加してくれた。
そして清掃後にお坊さん(事実上の村長)が
「日本人が私達の神様を綺麗にしてくれた。今度は私達の番だ。村では月に
一回、ゴミの日を作る」と宣言してくれた。
ゴミを拾う村人を眺めながら過酷な状況の中で
ヒマラヤ清掃を続けてきた甲斐があったと込み上げるものがあった。
エベレストやマナスルでの活動はシンボル的な要素が強い。
問題提議といっても過言ではない。
サマ村の人たちの行動にヒマラヤ上部での清掃活動を
そろそろ終了する時期が近づいている事を感じていた。
これからは人々の営みがあるヒマラヤ山麓で活動しようと思う。

そして今年はエベレスト初挑戦から10年目の節目。
私はアルピニストとして遣り残した目標が1つ残っている。
それはエベレストのチベット側からの挑戦だ。
97年、私はチベット側から挑戦し敗退している。
99年に登頂したのはネパール側からだ。
チベット側とネパール側とでは同じエベレストでも全く違う山だ。
今年の5月から私は10年ぶりにチベット側から
橋本龍太郎氏から受け継いだ木製のピッケルと共に
エベレスト登頂を目指す。
そしてこの10年間のエベレスト挑戦を1つの区切りに、
アルピニストとしての挑戦に幕を降ろす。

その先に何が待ち構えているのかイメージがわかないが、
ただ1つだけ理解しているのは、
今まで清掃活動など現場から環境問題を訴え、
問題提議してきたが、そろそろ次のステップに進むということ。
環境問題の相手は人間社会だ。
となればその人間社会をどのように変えていくのか。
切り口はいくらでもある。
義務教育の中での環境教育の普及。
国立公園の入山料制度、
またはさらなるレンジャー制度やエコツーリズムの普及、
そして環境型公共事業の展開等々、まだまだ課題は無数にあるが
その1つ1つを着実に実現していきたい。
美しい国、日本を作ると公言されている方もいらっしゃるが、
日本はそもそも美しい国であったと感じる。
したがって「美しい日本を取り戻す」といったほうがいいかなぁ。
迷わず環境活動に専念することが出来るよう、
またアルピニストとして悔いが残らないよう
精一杯エベレストでチャレンジしてきたい。
本年もよろしくお願いいます。

野口 健
   by mottainai-lab | 2007-01-02 02:46 | 野口健 | Comments(1)
Commented by ふじちゃん at 2007-03-13 19:30 x
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