じりじりと照りつけた太陽に真っ黒な雷雲が立ちこめ、一瞬にして土砂降り。
こんな天気が数日続いたある夜、玄関先に飾ったサボテンの根元に、ふと黄色い
ものが見えた。近づいてびっくり! おとぎの国から出てきたような、真っ黄色
のきのこが生えていたのだ。
その黄色い色の鮮やかさは、息を飲むほど!
もしかしてサボテンのいた国からやってきたのか? こんな愛らしい黄色は
見たことがない。毒きのこに違いないが、そんなことはどうでもいい!
夜に成長するきのこは、雨もあがった大きな満月の下で、見る度に大きく傘を開いて
どんどん成長した。次の昼には枯れてしまったが、たった一つのきのこだけど、
私の心に鮮明に、あの黄色い色がとても美しいなにかを残してくれた。
太陽の下で育つ生き物、月の光で成長する生き物・・・そこにはなにか、きっと違いが
あるに違いないと思ってきたが、月夜の下で見るあの黄色いキノコは、暗い夜の闇の中で
まるで太陽にも見えた。月夜に起きていないのは、もったいない・・・
満月の夜にはやっぱり、魔法がかかる・・・それを見ないのは、ほんとうにもったいない!
私にとってはまさしく、妖精パックも登場しそうな真夏の夜の夢みたいだった・・・。